Pi Network は眠れる巨人に！プロトコル23がテストネットで停滞、専門家は2026年までアップグレードされないと批判

暗号資産評論家の Dr. Altcoin は最近、「Pi Network は依然として『眠れる巨人』のようだ」と述べ、そのコアチームの進捗が依然として遅いことを指摘しました。彼は、プロトコル23が現在もテストネット段階にとどまっており、「このペースだと、PiDEXのアップグレードのような大きな更新は2026年第2四半期または第3四半期より前に実現するのは難しい」と述べています。

プロトコル23の遅延がコミュニティ最大の痛みの種に

（出典：Pi）

Pi Networkが現在直面している最大の論争点は、プロトコル23の開発進捗が大幅に遅れていることです。プロトコル23はPi Networkメインネットのアップグレードにおける重要なマイルストーンであり、高速なトランザクション、低手数料、分散型取引所（PiDEX）などの主要機能をもたらすと約束されています。しかし、このアップグレードは2024年初頭に発表されて以来、未だテストネット段階にとどまっており、メインネットへの導入がなかなか進みません。

Dr. Altcoinの批判は、コミュニティ内で高まる不満の声を代表しています。彼は、「このペースでは、PiDEXのような大きなアップグレード実現には、2026年第2四半期か第3四半期までかかる可能性が高い」と指摘します。つまり、現状から少なくとも1年半以上待たなければ、Pi Networkが約束したコア機能が実装されないことになります。すでに6年以上運営されているプロジェクトとして、この開発スピードは確かに満足できるものではありません。

プロトコル23の遅延は技術的な問題だけでなく、信頼の問題でもあります。Pi Networkの主なセールスポイントの一つは「スマホマイニング」と「大規模なユーザーベース」であり、5,000万人以上の登録ユーザーがいるとされています。しかし、これらのユーザーが十分なオンチェーン機能を利用できなければ、この巨大なユーザーベースは実際のエコシステム価値に転換できません。ユーザーは長期にわたり「メインネット完全開放待ち」という状態に置かれ、この不確実性がコミュニティの忍耐力を消耗させています。

技術的観点から見れば、プロトコルのアップグレードを長期間テストネットにとどめる理由があるかもしれません。テストネットは潜在的なセキュリティホールやパフォーマンス問題の発見・修正のために存在し、拙速なメインネット導入は壊滅的な結果を招く可能性もあります。しかし、Pi Networkチームは透明な開発ロードマップや進捗アップデートを欠いており、外部からは遅延が慎重さによるものなのか、単なる能力不足なのか判断できません。

プロトコル23遅延をめぐる三大疑惑

技術力への懸念：チームは複雑なブロックチェーンアップグレードを成し遂げる技術力があるのか

リソース配分の問題：開発リソースは十分か、他のプロジェクトに分散していないか

透明性の欠如：明確な開発ロードマップやマイルストーン進捗報告の不足

この遅延は開発者エコシステムにも影響を及ぼします。多くのサードパーティ開発者がPi Network上でdAppやサービスを構築したいと考えていますが、プロトコルの不安定さや機能の不完全さが本格的な参入を妨げています。これが悪循環を生み出しています。プロトコルアップグレードが遅いため開発者が参入しない、開発者が参入しないためエコシステムにアプリが増えない、アプリが不足することでユーザー流出や価格下落が進みます。

逆行下落2% 時価総額蒸発と流動性枯渇

暗号資産市場全体が堅調にもかかわらず、Pi Networkは下落圧力に直面しています。Piトークンの取引価格は0.2297ドル付近で、24時間で2%以上下落しました。この逆行的な動きは特に目立ちます。なぜなら、この日ビットコインやイーサリアムなどの主要通貨がプラスリターンを記録し、全体的に楽観的なムードだったからです。Pi Networkの下落は、大型市場との連動性が低下していることを示しており、これはマイナス要因による独立した資産と市場が見なしていることを意味します。

このトークンは重要な0.25ドルのレジスタンスラインを維持できず、そのレジスタンスは0.618フィボナッチリトレースメントとも重なっています。テクニカル分析では、0.618は黄金比率として重要なサポートまたはレジスタンス水準とされています。Piは0.25ドルの壁突破を複数回試みましたが失敗しており、この価格帯の上には大量の売り圧力があることを示しています。これは初期マイナーがこの価格で利益確定を選んでいる可能性もあれば、市場がPi Networkのバリュエーション上限をこのレンジと見ている可能性もあります。

Piの時価総額はすでに19.1億ドルまで下落し、取引量も16%以上減少しました。取引量の大幅減少は、より深刻なシグナルです。価格下落は短期的な調整かもしれませんが、取引量の縮小は市場参加度と流動性の衰退を意味します。資産の取引量が継続的に減る場合、投資家の関心が失われつつあることを示唆しています。取引量16%減に対し価格2%下落は、売り圧力は激しくないものの、買いも同様に弱いことを示しています。

時価総額で見ると、19.1億ドルでPi Networkは依然として暗号資産時価総額トップ100プロジェクトの一つです。しかし、この時価総額は巨大なユーザーベースと将来性への期待に基づいており、実際のエコシステム価値によるものではありません。もしプロトコル23の遅延が続けば、市場はこのバリュエーションの合理性を再評価し、さらなる下落余地も否定できません。

Pi Network価格の弱さを示す三大テクニカルシグナル

0.25ドルレジスタンス突破失敗：複数回の突破トライ失敗、上値に重い売り圧力

取引量16%減少：市場参加度および流動性の持続的な減退

逆行下落：ビットコイン・イーサリアム上昇時にPiは下落、独自のネガティブ要因を示唆

オンチェーンデータを見ると、Pi Networkのアクティブアドレス数も過去1か月で減少しています。登録ユーザー数は依然として増えていますが、実際にオンチェーン取引を行うアドレス数が減少しています。この登録ユーザーとアクティブユーザーの乖離は、多くの人がPiマイニングに登録はしたものの、プロジェクトの実際の発展には関心を失い、エコシステムに本格的に参加していないことを示しています。

CiDi Gamesとの提携が転機となるか

内部進捗が遅れているものの、Pi NetworkはWeb3ゲームに特化した開発会社CiDi Gamesと戦略的提携を発表しました。この提携にはPi Network Venturesの投資も含まれており、AIロボット企業OpenMind AGIへの投資に続く、Pi Network Venturesにとって2回目の大型投資となります。この協力により、Piエコシステムにより多くの現実世界のユースケース、とくにゲームとユーザーインタラクション分野がもたらされる見込みです。

この提携の戦略的意義は、Piに実用的なユースケースを提供することにあります。長らく、Pi Networkは「マイニングはできても使い道がない」と批判されてきました。ユーザーは大量のPiトークンを手に入れても使い道がありません。もしCiDi Gamesが魅力的なWeb3ゲームを開発し、Piをゲーム内通貨として採用できれば、トークンに実需とバーン（消費）メカニズムが生まれます。

しかし、コミュニティの反応は比較的冷ややかです。多くの人が、「外部ゲーム会社への投資よりも、まずプロトコル23の開発を完了すべきだ」と考えています。ゲームアプリの充実は重要ですが、基盤となるブロックチェーンが不安定で機能不十分なままでは、どれだけアプリが増えても砂上の楼閣です。このリソース配分の優先順位問題が、チームの意思決定能力に対する疑念をさらに強めています。

Pi Network Venturesの投資戦略も議論を呼んでいます。1件目はOpenMind AGI、2件目はCiDi Gamesと、いずれも外部プロジェクトです。一部コミュニティメンバーからは、「なぜこれらの資金をより多くのブロックチェーン開発者の採用やプロトコル23の開発加速に充てないのか」との疑問も上がっています。限られたリソースを外部協力に投じ、内部開発に充てないという戦略は、チーム自身の技術力に自信が持てていないことの表れかもしれません。

バリュエーション乖離論：Piは誤解されているのか過大評価なのか

誰もが落胆しているわけではありません。あるPiコミュニティの評論家は、逆の論点を提示し、「Pi Networkは実は暗号資産業界が直面している本当の問題を解決しようとしている」と述べています。市場では一般的に、ETFの登場や規制整備、ウォール街などの機関投資家参入で価格が急騰すると期待されていますが、実際には多くのブロックチェーンが機関投資家の注目を浴びても価格は低迷しています。

彼らは、市場が今やっと痛感し始めているのは「暗号資産のバリュエーションが現実から乖離している」という厳しい現実だと指摘します。多くのブロックチェーンは大きなストーリーを掲げつつ、実際のユーザーがいません。Pi Networkは逆に、実際のユーザー・実需・実用アプリを持っています。この論理によれば、市場バブルがはじけた後に生き残るのは、実際にユーザーベースを持つプロジェクトのみ、ということになります。

評論家は、「これによりPiは業界で最も過小評価・誤解されているプロジェクトの一つだ」と述べています。ただし、この論は一つ重要な点を見落としています。それはユーザー数とユーザーの質の違いです。Pi Networkが主張する5,000万人のユーザーのうち、実際にオンチェーントランザクションを行っている「リアルアクティブユーザー」はどれほどいるのか？どれだけの人がアプリをダウンロードして毎日ワンクリックでマイニングボタンを押すだけの休眠ユーザーなのか？もし大半が実際のオンチェーン取引をしたことがないのであれば、この巨大なユーザー数は単なる虚栄指標に過ぎません。

さらに深いレベルで言えば、Pi Networkが直面しているのは「鶏が先か卵が先か」の問題です。チームは「まずユーザーを集めてから技術を完成させるべき」と考え、市場は「まず技術を整えてからユーザーを引き付けるべき」と考えています。現状はユーザーがすでに集まっているにもかかわらず、技術がなかなか完成せず、結果的にユーザー流出と信頼低下が起きています。プロトコル23がこれ以上遅延すれば、この「眠れる巨人」は永遠に目覚めないかもしれません。

プレッシャーとチャンスが同居する岐路

現在、Pi Networkはプレッシャーとチャンスが同時に存在する状況にあります。価格低迷と開発の遅れが市場心理に影響を与え続けている一方で、提携先の増加や高いユーザーアクティブ度が支持者に希望を与えており、「眠れる巨人」がいずれ目覚めると信じられています。投資家視点では、Pi Networkはハイリスク・ハイリターンの銘柄です。プロトコル23が最終的に無事ローンチされ、PiDEXや他のエコシステムアプリが稼働を始めれば、価格は爆発的反発を見せるかもしれません。しかし開発が遅延し続けるか、技術実装が期待外れに終われば、さらなる下落もあり得ます。

前途多難ですが、Pi Networkは言葉ではなく実際の行動で市場の信頼を取り戻す必要があります。透明な開発進捗レポート、明確なローンチスケジュール、そして技術的マイルストーンの段階的達成が今もっとも求められています。そうでなければ、この「眠れる巨人」は目覚める前に市場から忘れ去られるかもしれません。