美越貿易協議驅動リスク選好上昇、金は圧迫されるも非農データが焦点

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貴金属は今週も多方面からの圧力に直面しています。米国とベトナムが合意した貿易協定により、市場の持続的な貿易摩擦への懸念は大きく緩和され、リスク回避資産への買いがやや後退しました。同時に、米ドルの緩やかな上昇も金の下落圧力を一層強めています。ただし、市場のFRB(連邦準備制度)のハト派的な見通しは、一定の支えとなっています。

楽観的な貿易見通しとドル反発が二重の抑制要因に

水曜日、トランプ大統領は米国とベトナムが貿易協定を締結したと発表し、米国は東南アジア諸国からの輸入関税を20%に引き下げ、ベトナムは米国市場への関税免除を得ることになりました。この朗報は市場のリスク志向を高めました。同時に、米国とインドの交渉チームも7月9日の期限前に関税削減の合意を目指しており、投資家の信頼感をさらに高めています。

この背景の中、金価格(XAU/USD)はアジア取引時間帯に売り圧力を受け、今週早朝の1ヶ月低値から反発して3日間の反騰を見せていますが、現在は値動きがもみ合い状態です。日本との交渉の進展は遅いものの、貿易に関する不確実性は依然として存在し、これだけでは貴金属への強力な支えとはなりません。米ドルの緩やかな上昇も、非利子資産の下落圧力を高める重要な要因です。

労働市場の圧迫が利下げ期待を強め、非農業雇用統計に注目

経済指標からは軟調な兆候が伝わっています。自動データ処理会社(ADP)の6月雇用報告によると、米国民間部門の雇用は2年以上ぶりの月次減少を記録し、前月比33K減少、修正後の前月増加は29Kとなっています。このデータは、前日に発表された求人と労働力流動調査(JOLTS)とも一致し、米国の雇用市場の勢いが引き続き弱まっていることを示しています。

トレーダーはこれらの弱い労働市場の兆候が、FRBの早期の利下げサイクル開始を促すと見込んでいます。市場は現在、7月29-30日の会合での利下げ確率を約25%と見積もり、9月には25ベーシスポイントの利下げがほぼ確実視されており、年末までにさらに2回の利下げが予想されています。非農業雇用統計の発表を控え、トレーダーはこの指標が労働市場の悪化をさらに裏付けるかどうかに注目し、ハト派的なFRBの見通しをより強固にする材料としています。

この利下げ期待は、米ドルが3年半ぶりの安値から反発する範囲を限定し、金の損失拡大を抑える効果が期待されます。

テクニカル分析:強気と弱気の攻防、重要ポイントで買い意欲を検証

チャート分析では、今週の200時間単純移動平均線(SMA)突破は、強気の重要なシグナルと見なされています。日足チャートのオシレーターは再び正の勢いを蓄積し、短期的な抵抗線は上方に向かう可能性が高いことを示唆しています。したがって、金価格の下落局面でも買いが入る可能性があり、$3,330-3,329(200時間SMA)付近が主要なサポートラインとなります。この水準を割り込むと、テクニカルな売り圧力が高まり、商品価格は$3,300の整数レベルへと下押しされる可能性があります。

一方、上値の抵抗は$3,363-$3,365(火曜日に付けた1週間超の高値)に設定されており、これを突破すれば次のターゲットは$3,400の整数レベルとなります。もしこのゾーンを持続的に上抜けると、最近のネガティブな見通しを払拭し、XAU/USDは$3,435-$3,440の次の重要抵抗帯へと上昇する展開が期待されます。

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