VAN vs TIR: 2つの指標が時には「逆の動き」をすることもありますが、投資家はどちらを信じるべきでしょうか?

投資判断を行う際、VAN(Valor Actual Neto)とTIR(Tasa Interna de Retorno)の二つの指標は常に密接に関連しています。しかし、ここに非常に痛い問題があります:時にはこれらが全く逆の結論を示すこともあるのです。一つのプロジェクトのVANが非常に良好でも、TIRは平凡だったり、その逆もまた然り。この矛盾は一体何によるものなのか?今日はこの二つのツールを分解して詳しく解説します。

まずVANから:あなたの投資はどれだけの現金を稼げるのか?

Valor Actual Neto(VAN)とは要するに:未来のキャッシュフローを現在の価値に換算し、それによって利益が出るかどうかを見る指標です。

想像してください、あなたが100万円を投資してあるプロジェクトを始めるとします。次の5年間、そのプロジェクトは毎年キャッシュフローを生み出します。しかし、「未来のお金」は「今日のお金」とは異なるため、これを割引く必要があります。これを担うのが重要な概念、**割引率(tasa de descuento)**です。

割引率はどう理解すれば良いか?簡単に言えば、あなたが他の場所で得られるリターンの率を反映しています。もし銀行に預けて年5%の利息がつくなら、割引率は少なくとも5%以上に設定すべきです。

VANの計算の基本的な流れは次の通り:

  • 各年のキャッシュフローを割引率で現在価値に換算
  • それらを合計
  • 初期投資額を差し引く

VAN > 0 = 利益が出る、VAN < 0 = 損失になる。 これだけです。

VAN実例1:正の収益を生むプロジェクト

あるプロジェクトに1万ドル投資し、その後5年間毎年4000ドルのキャッシュフローが得られるとします。割引率は10%とします。

キャッシュフロー 割引後の価値
1 4000 3636.36
2 4000 3305.79
3 4000 3005.26
4 4000 2732.06
5 4000 2483.02
合計 15162.49

初期投資10000ドルを差し引くと、VANは5162.49ドルとなり、投資は成功と判断できます。

VAN実例2:負の収益のプロジェクト

逆の例:5000ドルを投資して金融商品を買い、3年後に6000ドルを回収。年利8%とします。

3年後の6000ドルを今日の価値に割り引くと: 6000 ÷ (1.08)^3 ≈ 4774.84ドル

VANは: 4774.84 - 5000 = -225.16ドル

この取引は損失です。

VANの致命的な弱点(知っておくべきこと)

VANは理論的には非常に科学的ですが、実務ではしばしば「裏切る」ことがあります。

  1. 割引率は人為的に設定される — 10%と決めるのも、8%と決めるのもあなた次第。異なる割引率は結果を大きく変えます。
  2. 未来のキャッシュフローを正確に予測できると仮定している — 予測が少しでも外れると、結果も大きく変動します。
  3. 柔軟性や選択肢を考慮しない — プロジェクト進行中に戦略変更や調整をしたい場合も、VANはあくまで静的な計算です。
  4. 規模の違いを比較しづらい — 例えば、100万円投資して50万円の利益と、10万円投資して8万円の利益では、VANは前者の方が高く見えますが、効率性は後者の方が良い場合もあります。

TIR(内部収益率)の登場:パーセンテージで語る

TIRは別のアプローチです:**どれだけの投資回収率(利回り)があるか?**を示します。

先ほどの例(1万ドル投資、5年4000ドルずつ)では、TIRはおよそ**21.65%**となります。

TIRの理解はこうです:それは、VANをゼロにする割引率です。つまり、その割引率で計算したとき、純現在価値がちょうど0になるのです。

TIR > 参考金利(例:銀行の定期預金金利)= 投資価値あり
TIR < 参考金利 = 投資は見送り

TIRの最大の魅力は、パーセンテージで表されるため、規模の異なる投資案件同士を比較しやすい点です。これに比べてVANは絶対額なので、比較が難しい場合もあります。

TIRも完璧ではない

実務上、TIRには次のような問題もあります。

  1. 複数の解が存在する場合がある — 特にキャッシュフローに正と負が交錯する場合、複数のTIRが出てきてしまい、どれを信じれば良いか迷う。
  2. 再投資率の仮定が非現実的 — TIRは「すべてのキャッシュフローをTIRで再投資できる」と仮定しますが、実際には難しいです。これにより、実際のリターンを過大評価することも。
  3. 異常なキャッシュフローの変動に弱い — 中途で大きく損失や利益が出ると、TIRの計算結果が歪む。
  4. インフレの影響を無視できない — 名目TIRが20%でも、インフレ率が10%なら実質リターンは10%に過ぎません。

VANとTIRが対立したとき、どちらを信じるべきか?

最も厄介なケースは、VANがプラスなのにTIRが投資を控えるべきと示す、またはその逆です。この「相反」現象はいつ起こるのか?

一般的には次のような場合です:

  • キャッシュフローの分布が不均一(前期に大きな投資、後期に不規則な収入)
  • 割引率の設定が極端(高すぎる、低すぎる)
  • 比較対象の規模差が大きいプロジェクト

対処法:

  1. まずVANを確認し、「どれだけの絶対的な利益が見込めるか」を把握
  2. 次にTIRを見て、「効率性」を評価
  3. 両者だけに頼らず、ROIや回収期間、リスク指標も併用
  4. 仮定や前提条件を再点検し、割引率やキャッシュフローの予測の妥当性を確認

投資判断の実践的な流れ

複数の投資候補がある場合の基本的な判断基準は次の通りです。

状況 推奨アクション
VANもTIRも良好 投資を検討
一方が良好、もう一方が悪い 仮定やデータを再検討し、慎重に判断
両方とも悪い 投資見送り
複数案件がすべて良好 VANが高いもの、またはTIRが高いものを優先。ただし、資金の制約も考慮

割引率の設定はどうすれば良いか?

VANとTIRの根幹は割引率の選定にあります。これを誤ると、すべての結論が無意味になります。

参考の方法:

  1. 機会費用法 — もしこの資金を他のリスクのある投資に回したら、どれだけのリターンが得られるか?それが最低ライン。
  2. 無リスク金利 — 国債の利回りにリスクプレミアムを加味。
  3. 業界標準 — 同じ業界の一般的な割引率を調査。
  4. 経験則や直感 — 投資経験豊富な人は、過去の実績や市場動向から調整。

重要なのは、「この割引率があなたの最低受け入れリターンを反映しているかどうか」です。高すぎるとすべての案件が見送られ、低すぎるとリスクを見落とすことになります。

よくある質問と回答

Q:一つだけ指標を選ぶなら、VANとTIRどちら?
A:VANを選びます。なぜなら、最終的に「いくら儲かるか」を直接示してくれるからです。TIRは効率性の指標に過ぎません。

Q:VANとTIRの両方が良い案件はどう判断すれば?
A:両方とも良好なら、投資の候補に入れて良いでしょう。ただし、リスクや資金状況も考慮してください。

Q:すべてのプロジェクトに同じ割引率を使って良いの?
A:基本的には避けた方が良いです。リスクの高い案件には高めの割引率を設定すべきです。

Q:通貨やインフレを考慮した場合は?
A:名目TIRを使う場合はインフレ率を考慮し、実質TIRを使う場合はインフレ調整後のキャッシュフローと割引率を用います。どちらも一貫性を持たせることが重要です。

Q:素人だけど、自分でVANやTIRを計算すべき?
A:手計算は不要です。表計算ソフトや専用アプリを使えば良いですが、理解しておくことは重要です。数字に騙されないように。

最後に

VANとTIRは投資判断の「左目」と「右目」のようなものです:

  • VANはどれだけの絶対的な利益を得られるかを示す(絶対値)
  • TIRは効率性や収益率を示す(相対値)

どちらも重要であり、盲信せずに併用することで、より正確な判断が可能になります。

真の投資の達人は、これら二つだけに頼りません。彼らはさらに:

  • ROI(投資収益率)
  • 回収期間
  • リスク指標
  • 市場の動向
  • 自身の投資目的

これらも総合的に判断し、最適な投資戦略を立てています。投資は診断のようなもので、VANとTIRはその「検査結果」の一部に過ぎません。体調や病歴、医師の経験と併せて総合的に判断しましょう。数字だけに惑わされず、冷静に進めてください。

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